「使用期限が今日までの、遊園地のフリーパスか。貰っちまっていいのか」
俺は頷いた。
「その代わり頼みがある。アトラクションや着ぐるみなんかの写真を、なるべく沢山撮ってきて
貰いたいんだ。マリーに見せてやりたい」
「お安い御用だ。じゃあ、ありがたく貰っていくぜ」
カルツは手にしたフリーパスをヒラヒラ振りながら、公園から出て行った。顔の広いカルツの事
だ。今日当日でも、デートに付き合ってくれる相手には事欠かないだろう。
それに引き換え俺は・・・デートに誘いたい相手は勿論いるが、そんな事を言い出したらあい
つに嫌われそうで、どうしても勇気が出なかった。
そうだ。あいつ・・・若林は今日も一人で自主トレをしている筈だ。ちょっと付き合ってやるか。
差し詰め、これが俺たちの「デート」だな。俺は苦笑いを浮かべながら、練習場へと足を向け
た。
バッドエンド 2

|