「それにしても、あっさり断りやがって・・・」
ぶつぶつと文句を言いながら、俺は一人寂しく帰宅した。
 「ただいま」
 「あら、カール。帰ってきちゃったの」
母が驚いたように声を掛ける。俺は照れ臭くなって、簡単に答えた。
 「友達に振られた。これ、返すよ」
フリーパスを母に渡す。母は、仕方ないわね、と呟いてそれをゴミ箱に捨てた。
 マリーの様子を見に部屋に行くと、マリーはベッドに身を起こして熱心に何かを読んでいた。
 「あ、お兄ちゃん?」
マリーが顔を上げて、ビックリしたように言った。俺は近づいて、マリーの手元にある雑誌を見
た。そこには今日俺たちが行く筈だった、遊園地の紹介記事が載っていた。
 「やっぱり、行きたかったんだな」
 「うん。ほんとのこと言うとね、お兄ちゃんが先に行くのが、ちょっと羨ましかったの」
そうか。自分のせいで俺が遊びに行けなくなると思って、さっきは我慢していたんだな。俺はマ
リーの頭を撫でて、優しく言った。
 「遊園地には、今度いっしょに行こうな」
 「うん!」
マリーが天使のような笑顔で、明るく返事をした。

バッドエンド 1