ホラーハウスから抜け出し、俺たちはベンチに座って一息ついた。それにしてもバイトのスタ
ッフなんだろうが、職場で始めるとはとんでもない奴らだ。
 「えらいのに出くわしちまったな、若林」
俺は若林に声を掛けた。色事に疎い若林は、さっきの事情を理解しておらず、ただ怒鳴られた
ことに対してむくれている。
 「なんだったんだよ、さっきの奴? なぁ、シュナイダー。ここ、あんまり居心地良くねえな」
 「・・・まぁ、さっきのは特別だろうけど」
 「もう、いちいちアトラクションに入るの、やめようぜ。建物の入り口で写真を撮れば、充分だ
ろう?」
 「えっ、それは・・・」
 「そうしよう。こんな所に長居するのは、時間の無駄だ」
若林はよっぽど腹が立ったらしく、一人決めすると、俺を促して園内のあちこちで写真を撮り始
めた。遊園地はかなり広かったが、建物の入り口で写真を撮るだけなので、二時間足らずで
廻り終わってしまった。若林が清々した顔で言った。
 「よし、終わった。帰ろうぜ! 今すぐ帰れば、自主トレの続きも出来る」
 「・・・ああ」
せっかく若林とデートのように遊園地にやってきたのに、こんなに早く帰る羽目になると
は・・・! 俺は心の中で、色ボケスタッフを呪ったのだった。
バッドエンド3