「若林が写真を撮ってくれるなら・・・」
 「よし、任せとけ」
若林は周囲を見回し、比較的取り巻きの少ない、地味なキャラクターの着ぐるみに近づいた。
その隣に並ばされて写真を撮ってもらいながら、俺は内心思った。
 (もっと人気のあるキャラクターの方が、マリーも喜ぶんだが・・・)
しかし若林はその着ぐるみだけでなく、他のキャラクターの着ぐるみにも声を掛け、次々と俺と
のツーショット写真をカメラに納めていく。闇雲に声を掛けているのではなく、四方に眼を配り、
丁度他の客が途切れた瞬間を狙って、着ぐるみに声を掛けているらしい。そして終いには、一
番人気でずっと子供達に囲まれていた着ぐるみが引き上げる直前に、絶妙のタイミングで声を
掛け、そいつとの記念写真も撮ってしまった。
 「どうだ! さっきショーに出ていた着ぐるみ全員との、記念写真が撮れたぜ!」
若林が得意げに言う。俺は素直に感心した。状況判断の正確さ、無駄のない動き、一流のゴ
ールキーパーとしての才覚が、こんな事にも役立つとは!
 「大したものだ。若林にカメラマンを頼んで良かった」
 「だろ? マリーちゃんも喜ぶぜ」
若林が、丁度撮り終わったフィルムを交換しながら言った。さて、次はどこへ行こうか。

 ホラーハウスに入る
 ジェットコースターに乗る
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