俺の帰りを、マリーは寝ないで待っていた。
「おかえり、お兄ちゃん。遊園地、楽しかった?」
「ああ。マリーのために、一杯写真を撮ってきたぞ」
俺はマリーに写真の入った袋を手渡した。マリーは大喜びで、写真を一枚一枚じっくりと眺め
始めた。そしてマリーに聞かれるままに、俺は今日の出来事を色々と話してやった。
「ねぇ、お兄ちゃん。写真には、お兄ちゃんしか写ってないね」
「ああ。若林はカメラマンに徹してくれたんだ」
「ふーん。一枚くらい、一緒のところを誰かに撮って貰えば良かったのにね」
・・・・・・俺もそう思う。事情はどうあれ、二人きりで休日を遊園地で過ごしたのだ。デートをした
と言っても差し支えあるまい。いや、デートをしたと思いたい。記念に二人で写した写真が、一
枚でもいいから欲しかった。
まぁ、今更ぼやいても仕方がない。若林とデートが出来た。今日はそれだけで満足しよう。
「ありがとう、マリー」
おまえのお陰で、若林と楽しい一日が過ごせた。だが、礼を言われたマリーは、キョトンとして
いる。
「なんで、お兄ちゃんがお礼を言うの?」
俺はその問いには答えず、マリーの頭を笑顔で撫でてやったのだった。
バッドエンド 6

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