「これから、カルツの家に行かないか?」
「カルツの家?」
若林が不思議そうに聞き返す。当たり前だ。なんでここでカルツの家が出てくるんだ。苦し
まぎれとはいえ、俺は何を言ってるんだ!
「そうか、あいつ家族が旅行に行ってて、一人だって言ってたな。手土産でも持って、遊びに
行くか」
若林が納得したように言う。家族が旅行・・・そういえば、そんなこと話してたっけ。とにかく、
若林に変に思われなくて良かった。
俺たちはスーパーで菓子やらドリンクやらを買い込んで、カルツの家に向かった。
突然押しかけて来た俺たちを、カルツは快く迎え入れてくれた。やはり一人で退屈していた
らしい。
「いや〜、丁度良かった。つまみが足りなかったんだ」
つまみ・・・? 居間に案内されて、納得がいった。テーブルの上には何本ものビールの
空缶。家族が留守なのをいいことに、一人で酒盛りをしていたらしい。空缶を数えて、若林が
呆れたように言う。
「これ全部、一人で飲んだのか?」
「おうよ。ビールなんて水と一緒だからな」
そして当然のように、俺たちにもビールを勧める。折角なので俺は缶を開け、ビールを飲み
始めた。若林はためらっていたようだったが、俺が飲み始めたので、それに習うように缶を
開けて口をつけた。
10分後。
こともあろうに缶ビール一本で酔い潰れてしまった若林は、床に転がって眠りこけてしまっ
た。カルツは若林の上に毛布を被せると、相変わらずガンガン飲んでいる。陽気に俺に話し
かけてくるが、俺の返事は上の空だった。
目の前に据え膳状態で若林が寝入っているというのに、何も出来ないなんて・・・。
「シュナイダー、飲んでねえな。ホラ、もう一本!」
「ああ・・・(こうなったら、自棄酒だ)」
俺はカルツに勧められるままに、どんどん酒をあおった。こうして、宴会(?)の夜は更けて
いったのだった。
翌日の練習。俺と若林は二日酔いで使いものにならなくて、監督にこっぴどく叱られた。そう
なった原因を作ったカルツは、涼しい顔で至って普通。
「酒ってのは、自分のペースを守らないとな」
などと、平然とうそぶく。こ、この野郎・・・・・・(怒)
バッドエンド 2
あとがき
カルツは絶対うわばみだ! という思い込みによって作られたバッドエンドです。源さんが酒に弱いのは、のちのち
シュナイダーが襲いやすいように・・・(爆)

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