一人、家路を辿りながら、俺はまた若林のことを考えていた。結局、今日もうまくいかなかっ

 た。想いは募るばかりだというのに、この想いを若林に受け止めて貰える日は果たして来る

 のだろうか。

  いっそ強引に押し倒して、身体の繋がりから関係を始めてしまおうかとも思う。恋愛感情の

 介在しない身体だけの関係だった筈が、いつしか愛を育んでいた、などという話も聞く。最終

 的に恋人同士になれるのなら、それでもいいのではなかろうか。

  いや、駄目だ。そんなのは稀な例だ。

  常識的に考えて、自分を強姦した相手に愛情を抱く事などあり得ない。

  若林を傷つけるようなリスクは冒せない。

  俺は。

  若林を愛しているんだ。




  俺は歩みを止めた。辺りはすっかり暗くなっていた。空を仰げば、多くの星が瞬いている。

  今の自分にとって、若林はあの星よりも遠い存在だ。いつも傍にいて、いつでも触れられる

 ほどの近い距離にいるというのに、決して手に入れる事ができない。

  俺は頭を振って、悲観的な考えを追い払った。

  違う。

  いつかは手に入れてみせる。

  若林の心も身体も、俺のものにしてみせる。

  俺は再び夜道を歩き出した。明日には、また若林に会える。またチャンスが巡ってくる。

  そう自分に言い聞かせながら。




バッドエンド 1   



  あとがき
 一途なシュナの一人語りで終わる、唯一真面目なバッドエンド。妄想小説のシュナとは、ハッキリ言って別人格。