俺は罪悪感を押さえ込んで、若林の手を取った。

  「俺の話を聞いてくれるか」

  「勿論。でも、大丈夫か? 今日は静かに休んだほうが、いいんじゃないのか」

  若林がいたわりの言葉を掛けてくれる。ああ、なんて心地良いんだ。

  ところが、いきなり見上が部屋に入ってきて、このいいムードをぶち壊してくれた。

  「源三、シュナイダーの面倒は俺が看る。おまえは早く食事をして、休みなさい」

  「でも、見上さん・・・」

  「おまえもシュナイダーみたいに、ぶっ倒れたいのか? 早く休養を取れ」

  「はい、判りました」

  素直に返事をすると若林は、俺の顔を覗きこんで優しく声を掛けた。

  「シュナイダー、見上さんが付いててくれれば大丈夫だ。早く良くなれよ」

  え? おい、ホントに行っちゃうのか? 行くな、若林! 行かないでくれ!!

  しかし俺の願いも虚しく、若林は部屋から出て行ってしまった。

  すっかり当ての外れた俺は、早々にこの場を立ち去ることに決めた。

  「あの、俺、もう平気みたいなんで、帰ります」

  だが、見上はベッドを降りようとする俺を押しとどめて、手にした水筒から何かをコップに注

 いだ。

  「遠慮するな。これを飲んで、ひと眠りしてから帰れ。元気が出るぞ」

  「・・・なんですか、これ?」

  「特製の栄養ドリンクだ。ベースは青汁だが、他にも色々栄養たっぷりの食材がミックスさ

  れている」

  コップの中の液体は青黒く、妙にドロドロしていた。ツンと鼻にくる異臭が、不快感を増して

 いる。お世辞にも美味そうとは言えない。俺はキッパリと断った。

  「結構です」

  「我がままを言うな。見た目は良くないが、良薬口に苦しと言うだろう。ほら!」

  あんまり熱心に勧めるので、恐る恐る液体を口にする。

  ・・・・・・不味い!!

  飲み物とも、薬とも思えない。

  とても人間が口にする代物ではない。俺はコップを突き返した。

  「やっぱり、いりません」

  「我がままを言うなと言うのに! 飲み干すまで、家には帰さないぞ!!」

  なんじゃ、そりゃあ! もしかして見上は、俺の若林に対する下心を見抜いていて、俺

 を牽制するために、得体の知れないモノを作ってきたのではないかと思えてきた。

  「ほら、まだ一口しか飲んでないぞ」

  見上がコップを突きつける。

  ・・・・・・勘弁してくれ!!(涙)




バッドエンド 3   



  あとがき
 見上さんの栄養ドリンク、源さんも飲むのでしょうか。源さんの時にはフルーツたっぷりのフレッシュジュースとか作
 ってそう(笑)