若林が玄関先まで見送りに来てくれた。若林は済まなそうに言った。

  「たいして、いいアドバイスが出来なくて悪かったな」

  「気にするな。おまえが話を聞いてくれただけで、充分だ」

  「そうか」

  若林はホッとしたようだ。それから、励ますように俺の背中をドンッと押した。

  「シュナイダー、諦めるなよ。俺、シュナイダーだったら、恋もきっとうまくいくと思う」

  「若林にそう言って貰えると、心強いよ」

  「また、話したくなったら言えよ。聞くだけでよければ、いくらでも聞いてやるよ」

  「ああ。また、頼むと思う」

  そう応じて、俺は若林の家を後にした。




  辺りはすっかり暗くなっていた。俺は夜空を振り仰ぎ、瞬く星を眺める。

  結局、今日もまともな告白は出来なかった。だが、ほんの少しだけ、若林との距離を縮める

 事が出来た気がする。

  若林に、俺が真剣に恋をしている事を伝えることが出来た。

  若林に現在、恋の相手がいないことも判った。

  そして、若林が俺のことを意識しているということも知った。

  ・・・・・・サッカーのライバルとしてだけどな。

  それでも悪い気はしない。

  俺は歩みを止め、星空に向けて手を伸ばした。

  こないだまで、あの星のように遠く感じられていた若林の心が、確実に俺の元へ近づいてい

 る。そう思えた。

  諦めない。

  絶対に。

  俺は再び、夜道を歩き始めた。




 ハッピーエンド    



  あとがき
 最後まで読み進めていただいて、誠にありがとうございます。いやあ、妄想小説のシュナとは別人のような生真面
 目さで、自分で書いていてかなり照れてしまいました。タイトルが「ときめき」だから、無意識に妄想が抑えられたの
 かなあ? バッドエンドだと、いつものシュナなんですけど。

 このゲームノベルは、スタートからハッピーエンドまで全20項目です。(少ない・・・冷汗)バッドエンドは全部で6  
 つ。バッドエンドに至るルートは11本あります。もし、お暇でしたら是非全ルート制覇を目指してみてくださいませ。