反則なのは承知の上で、シュナイダーは隠し持っていた棍棒で若林を殴った。
 「ぐわっ!!」
若林が頭を抱えて、ベンチから崩れ落ちる。
 もう悠長に口説いている時間は無い。とにかく恋人としての既成事実を作ってしまわなければ。
 だが屈強な若林が、押し倒されて大人しくしている筈が無い。そこで少々荒っぽい手段だが、若林を殴って動きを封じる事にしたのだっだ。
 奇襲は成功した。あとは若林をもっと人目につかないところに引きずってって、それから・・・・・・
 「・・・・・・てぇめぇえ〜〜〜。何しやがるっ(怒)」
後頭部を押さえながら、若林が閻魔の形相で起き上がった。シュナイダーは焦った。
 (しまった! 殴り方が足りなかった!?)
 「タイマン勝負なら、いつでも相手になってやるぜ!」
若林が拳を固めた。右ストレートがシュナイダーの顔面に命中し、よろけたシュナイダーは棍棒を取り落とす。
 「そうだ! 武器なんか使わないで、素手でかかってこいっ!」
 「ま、待て。俺は喧嘩する気は・・・げほっ」
若林のパンチを腹に食らって、シュナイダーは咳き込んだ。
 (は、反則なんかするんじゃなかったぁ〜!!)
ボコボコに殴られながら、シュナイダーは後悔した。
おわり