ノンストップ
「シュナイダー、誕生日おめでとう!」
笑顔で若林に告げられて、シュナイダーは呆気に取られる。 珍しく若林が居残り特訓を断ってきたので、何か用事があるのかと尋ねて返ってきた答がこれだったのだ。 「誕生日?」 「・・・違うのか? カルツに聞いたんだけど?」 急に不安そうな顔になった若林を見て、シュナイダーが苦笑する。 「いや、合ってるよ。若林が俺の誕生日を知ってるとは思わなかったんで、驚いただけだ」 日本から来たサッカー留学生の若林が、ハンブルクJr.ユースチームに編入してきて三ヶ月余りが経過していた。その間、彼の頼みを聞いて特訓に付き合ってはいるものの、練習が終わればそれで解散。サッカーの話ならするが、プライベートなことを親しく語り合った事もないし、語り合おうと思った事もなかった。 見所がありそうなので練習相手を引き受けてはいるが、格別仲が良いわけでもない。その程度の付き合いしかない若林に突然誕生祝いの言葉を掛けられて、シュナイダーはむず痒いような居心地の悪さを感じていた。 「・・・で、何故俺の誕生日だと、特訓が中止になるんだ?」 「そりゃ、シュナイダーには毎日世話になってるからな。誕生日の時くらい、恩返ししなくちゃ!」 「恩返しだって?」 邪気の無い笑顔でこちらを見上げる若林に、シュナイダーはますます戸惑いを感じる。これがカルツのように気の置けない相手からの言葉だったら、好意を素直に受け止められるのだが、生憎この留学生とはそれほど親しくなかった。 特訓は若林が自主的に行っているものだから、当人が今日はしたくないと言うのなら好きにすればいい。しかし恩返しだの何だのと、大袈裟な気遣いは正直鬱陶しい。 (今日が俺の誕生日だから、お礼がてらに何か物をくれるつもりか? だが、それなら何も特訓を休む必要は無いわけだし、若林は一体何をする気なんだ?) 「若林、よく意味が判らないんだが・・・?」 「今日一日、俺の事こき使っていいぜ!」 親指を立てて自分を指し示しながら、若林が得意げに言った。どうやら彼はこの「恩返し」を素晴らしいアイディアだと思っているようだ。だがシュナイダーにしてみたら、然程親しくもない相手から突然こんな申し出をされても戸惑うばかりだ。 「気持ちは嬉しいが、余計な気遣いは無用だ」 「遠慮すんなって。毎日俺に付き合って貰ってるんだから、偶には俺がシュナイダーの為に何かしたいんだ」 黒い大きな瞳を輝かせて若林が訴える。それでもシュナイダーはあまり気乗りしなかった。シュナイダーからすれば、毎日彼の居残り特訓に付き合うのは自分の練習にもなっている事なので、こんな風に気を回されるのは却って負担に思えてしまう。 ともあれ今日の特訓が中止なのは決定事項らしいので、シュナイダーはピッチから引き上げる事にした。 「急に、こき使っていいと言われてもな・・・別にやって欲しい事なんてないし」 「そう言うなって! 本当に何でもやるからさ」 シュナイダーの後をぴったりくっついて来る若林が、盛んにアピールする。面倒な事になったとシュナイダーは内心途方に暮れた。何か用事を言いつけない事には、若林は大人しく帰ってくれそうにない。 (用事・・・そうだ、そういえば母さんに部屋を片付けろって言われてたっけ) ロッカールームで着替えながら、シュナイダーは若林に家に来て掃除をしてくれるかと尋ねる。当然、若林は胸を張って「任せろ!」と元気よく答えたのだった。 こうしてシュナイダーの家を初訪問した若林は、シュナイダーの部屋を一目見て呆れたような声を出した。 「うわ。マジで散らかってんなぁ。これじゃ何がどこにあるか、自分で判んねーだろ?」 「判るさ。だから本当は掃除なんてしなくても構わないんだ。嫌なら帰っていいぞ」 本当に帰ってくれるのを期待して突き放すような言い方をしてみるが、若林には通じない。 「嫌じゃねーよ。せっかく掃除しに来たんだから、散らかってる方がやり甲斐があるしな」 早速若林は部屋中に取り散らかった衣服を拾い上げ始めた。いまだに冬物の衣類も出しっ放しにしてるので、服の片付けだけでも相当手間取るだろうとシュナイダーは予想する。ドアにもたれたままぼんやり若林を眺めていると、視線に気付いたのか服を畳んでいた若林が顔を上げた。 「シュナイダーはどっか別の部屋で休んでろよ! 勝手に部屋の物を捨てたりはしないからさ」 「ああ。それじゃ任せたぞ」 戸口から離れると、シュナイダーはダイニングルームに移った。冷蔵庫から冷えたジュースを出し、それを飲みながら居間でテレビを見て時間を潰す。大して面白くもない番組を見ているうちに、時計の針は30分あまり進んでいた。 「ちょっと様子を見てみるか」 シュナイダーは自室へと戻ってみた。 部屋のドアが開きっ放しになっているので中を覗いてみると、案の定まだ衣類整理の途中らしかった。若林は椅子や棚の上に適当に積んであった服の片付けを終わらせ、今はベッドの周辺に脱ぎ散らかしている分に手をつけている。うつむき加減で片付けに没頭しているせいか、若林はシュナイダーが戻ってきた事に気付いていないようだ。シュナイダーも声は掛けず、お手並み拝見とばかりに無言で見守っている。 若林の手が、壁とベッドの隙間に落ちていたシャツと一緒に一冊の雑誌を拾い上げた。何気ない様子でページををパラパラとめくっていた手が、真ん中辺りのカラーページでピタッと動きを止める。そのまま若林は食い入るように誌面を凝視していた。 その雑誌を買ったのは、どぎついヌードグラビアが目当てだったのを思い出し、シュナイダーは思わず吹き出した。サッカーしか頭に無い石頭かと思ったら、やっぱり年相応にソッチ方面への好奇心はあるらしい。 「あっ、シュ、シュナイダー! いつからそこにいたんだよっ!!」 ようやく部屋の主が戻っている事に気付き、若林が慌てふためいた声で怒鳴る。そして手にした雑誌を閉じると、シュナイダーに取り繕うように言った。 「これ、落ちてたぞ。捨てるのか? とっとくのか?」 「俺はもう見たから要らないよ。若林、持って帰っていいぜ」 「俺だって、いらねーよ!」 そう言って雑誌をゴミ箱に投げ込もうとするのを、シュナイダーが手で遮る。 「無理すんなって。さっきまでコイツに釘付けだっただろ」 雑誌を取り上げ、トップレスのモデルが巨大な乳房をこれ見よがしに両手で持ち上げているグラビアページを開いてやると、若林が真っ赤な顔で雑誌を払いのけた。 「釘付けじゃねえっ! とっとく雑誌か、捨てる雑誌か、確認する為にちょっと中を見ただけだ!」 あまりにも若林がムキになってるので、シュナイダーは可笑しくなってしまった。男同士で一体何を恥ずかしがってるんだか。ヌードグラビアが見たいのなら素直にそう言えばいいのに。 第一、若林がいくら興味がない振りをしたところで、彼の穿いているジャージに目を落とせば大事な所が盛り上がりかけているのがハッキリ判る。誤魔化しようのない証拠を晒しながら、頑としてヌードグラビア誌を拒む若林の態度が滑稽で、シュナイダーはもっと若林をからかってみたくなった。 「ちょっと見てただけにしては、ココの反応が良すぎないか?」 シュナイダーは雑誌を投げ出すと、すばやく若林の腰を抱き寄せた。そして黒いジャージに包まれた若林の股間を、布の上からむにゅっと鷲掴みにする。膨らみ始めていた部分をいきなり握られて、若林は仰天した。 「わぁっ! 変なとこ触るなっ!」 「しっかり勃ってるぜ。あの巨乳に釘付けだった証拠だ」 若林はシュナイダーの胸に手をついて相手を押し戻そうとするが、シュナイダーの手がジャージ越しに陰部を撫で擦り始めた途端に、ガクッと力が抜けてしまった。抵抗しなければと頭では思うのに、シュナイダーの手が動く度に股間からぞくぞくするような刺激が全身に伝わって、まるで自分の身体じゃなくなってしまったかのようだ。 「あ・・・やめっ、やめろって・・・」 辛うじて口からは拒絶の言葉が出てくるものの、さっきまでの威勢がない。しかも若林の腕は、いつの間にかシュナイダーを押し戻すのではなく、彼の首筋に抱きつくような格好になっていた。 ちょっと前までの反抗的な態度とは正反対だ。若林の反応が面白くて、シュナイダーの手の動きは更に執拗になっていく。 (こいつ、随分と感じやすいんだなぁ・・・) 一緒にサッカーをやっている時の姿からは想像もつかないような、艶っぽい吐息が若林の喉から漏れる。シュナイダーの首筋に縋り付くような格好で喘いでいる若林を見ているうちに、シュナイダーは妙な気分になってきた。 シュナイダーが若林の股間を掴んだのは、単なる悪ふざけに過ぎない。少しばかりからかって、後は若林をトイレに送り出してやるつもりだったのだが、何だか途中で止めるのが惜しくなってきた。このまま悪戯を続けたら若林がどうなってしまうのか、最後まで見てみたい。 シュナイダーの指に力が籠り、熱い塊を布越しに激しく擦りあげる。 若林の息が荒くなるのにつれて、シュナイダーの気持ちも高揚していく。 「あっ、あぁっ・・・!」 喉の奥から小さな叫びを上げて、若林の身がビクンと震えた。さっきまで張詰めていたモノが硬さを失い、同時にそれを包み込んでいるジャージの生地がじわじわと濡れてくるのを感じて、シュナイダーは言い知れぬ興奮を覚える。 若林の両腕が、シュナイダーの首筋から滑り落ちた。そのまま放心したかのように、若林はべったり尻をついて床にへたり込む。シュナイダーは若林の脇に屈み込んで、彼の股座を覗いてみた。ジャージが黒いのであまり目立たないが、じっくり見れば染みが広がっているのが判る。 「あーあ。穿いたまんま出しちまったな。べちょべちょじゃないか」 「・・・シュナイダーが、やったんじゃねーか」 上気した顔をこちらに向けて、若林がにらむ。 「俺、もう帰る!」 傍らのベッドに手を付いて立ち上がった若林を、シュナイダーが引き止めた。 「その格好のままでか? 濡れたまんまじゃ気持ち悪いだろ?」 「うるさいっ! 帰るったら帰る!!」 「ちょっと待て。俺の着替えを貸してやるから、それは脱げ」 背中を向けてドアへと向かう若林のジャージに、シュナイダーの手が掛かる。そのまま強引に手を引き下げると、ジャージと下着が一緒くたになってずり落ちて、若林がよろけた。 バランスを崩した若林は、咄嗟にその場に手と膝を付く。 ・・・剥き出しになった裸の尻を、シュナイダーに突き出す格好で。 (おぉ!?) 思わずシュナイダーは生唾を飲み込んだ。目の前に晒された形のいい臀部は、つるりとして見るからに触り心地が良さそうだ。その下にぶら下がっている睾丸とペニス、そして内腿の辺りには白っぽい液がまとわり付いている。さっき出したばかりのザーメンだ。 思いがけない痴態を目の当たりにした瞬間、シュナイダーの全身をヌードグラビアで感じた時の数倍の性的興奮が駆け抜けた。 ずきりとシュナイダーのペニスが疼く。 全身の血が一箇所に集まっていくのが判る。シュナイダーは湧き上がる衝動を抑えきれず、行動を起こした。 「何すんだよっ!」 怒りの形相で脱げ掛けたジャージを引き上げようとする若林を、シュナイダーはベッドの上に突き転がした。ただならぬ空気を察知したのか、若林は激しく抵抗したが結局下半身から着衣と名のつくものを全て剥ぎ取られてしまった。無防備に急所を曝け出した姿でベッドの上に押さえ込まれ、若林はすくみ上る。 「シュナイダー、何やってんだよ? 冗談が過ぎるぞ! 早くどいてくれっ」 「駄目だ」 なおももがき続ける若林の両手を、シュナイダーはひとまとめにして若林の頭の上で押さえつける。下からシュナイダーを見上げる若林の目には、脅えの色が浮かんでいた。若林には自分が何故こんな状況に陥ってしまったのか、理解できなかった。ほんの数分前まで、自分はシュナイダーの部屋を掃除していただけなのに。 (なんで、今の俺はパンツ脱いで、シュナイダーに抑え込まれてんだ!?) 「若林、俺に恩返ししたいって言ってたよな?」 腕の力は緩めずに、シュナイダーが念を押すように若林に尋ねる。 「言った。だから、俺は部屋の掃除を・・・」 「しなくていい。代わりに、やらせてくれ」 「やるって何を・・・え? えっ!? まさか・・・」 若林の下腹の辺りに、硬くて熱いモノが押し当てられている。それが勃起したシュナイダーのペニスである事は明らかだった。 「やるって、まさか・・・冗談だろ? 俺は男だぞ!!」 「判ってる。男同士でも出来るから大丈夫だ」 「大丈夫じゃねぇっ!! 早くどぃ・・・あっ、あ・・・」 言い返す若林の声が、急に途絶える。シュナイダーが空いたほうの手を、再び若林の股間に伸ばしていた。さっきは布地越しだったが、今度はダイレクトに若林のペニスを掴み上下に激しく擦り上げる。射精直後で萎えていたペニスは、たちまち固さを取り戻し始めた。 若林が感じ始めたのを見て、シュナイダーが押さえつけていた手をそっと離してみる。両手が自由になった後も、若林はもう抵抗しなかった。四肢をだらしなく広げ、ただひたすらにシュナイダーが与えてくれる快感に酔い、息を弾ませている。 「はぁ・・・シュナ、おまえ、ずるいぞ・・・」 眉を寄せ、泣きそうな顔で喘ぎながら、若林がシュナイダーを非難する。 「こ、こんな事されたら、俺、動けなぃ・・・あ」 「気持ちいいだろ? だから大丈夫だと言ったんだ」 若林自身への愛撫を続けつつ、シュナイダーは己の下半身を露出させた。そして若林の隣に横たわると、若林の手を自らの股間へと導く。既に逞しく勃起しているペニスを握らされて、若林が驚きの表情を浮かべた。 「若林、俺に達かされて口惜しいんだろ? だったら、若林も俺を達かせてみろよ」 からかうような口調でそう言うと、若林が真っ赤な顔でシュナイダーを睨んだ。 「う・・・や、やってやる!」 押し寄せる快感に耐えながら、若林が両手を動かし始めた。ぎこちない手つきで乱暴に扱かれるのが思いがけない刺激になって、シュナイダーも堪らず声を漏らす。 「うぅっ、若林、やるな・・・」 負けじと若林のペニスを擦ってやると、若林の手から力が抜けかけた。だが気力で持ち堪えたか、すぐにシュナイダー自身への愛撫を再開する。 互いの性器を擦りあううちに、シュナイダーと若林はひしと抱き合い、脚を絡め、貪るようにして互いの唇を求めていた。唾液を滴らせながら、夢中でシュナイダーに唇を押し付けている若林の頭からは、理性や思考力が完全に消えうせていた。絶え間なく打ち寄せる快楽の波に溺れ、もっと気持ちよくなりたくて、ただひたすら相手に縋り付く。 快感にのぼせ、うつろな表情で喘ぎ続ける若林を見て、シュナイダーの中に眠っている牡の本能が雄叫びを上げる。 挿れたい。 若林の中に挿れて、若林を俺のものにしてしまいたい。 シュナイダーの右手が滑るように若林の尻を撫で回す。その手がアナルに忍び寄り、中指の先がつぷりと挿入された。快感に蕩けていた所に突如として痛みが走り、若林は身を固くする。キスを止め、涙目になってシュナイダーに訴える。 「シ、シュナイダー、よせっ・・・痛いっ・・・!」 だがここで引き下がる気など、シュナイダーにはさらさらない。指を抜くどころか、更に奥へと挿し入れて中をぐにぐにと掻き回す。若林はシュナイダーに抱きついて、悲鳴を上げた。 「うぁっ、あーっ! あぁー!!」 「力抜けって。そしたら前を触るのより、もっと気持ちよくなるぞ」 嫌がる若林をなだめるように、シュナイダーが耳元で囁く。もっと気持ちよくなれる、という言葉が効いたのか、若林が力を抜こうとしているのが判って、シュナイダーはホッとした。どうやら若林も本気で嫌がってるわけではなさそうだ。 みっちりと締め付けてくる肉を解すように、シュナイダーは指を抜き差しする。ねちっこくアナルを弄り続けているうちに、苦しげだった若林の息遣いに変化が表れた。シュナイダーが指の本数を増やしてみても、もう若林は痛がらなかった。それどころか、シュナイダーの指が動くのに合わせるように小さく腰を振っている。 「な、気持ちよくなってきただろ?」 視点の定まらない顔で、若林がコクッと頷く。若林のペニスからは透明な汁がとろとろと溢れ続け、もう少しで達きそうなのが判る。 (これなら大丈夫だな・・・) シュナイダーは若林の中から指を抜いた。それから若林をうつ伏せにして、尻だけを持ち上げた姿勢をとらせる。 「挿れるぞ」 尻肉を鷲づかみにして穴を広げるようにしながら、シュナイダーはいきり勃った先端を若林のアナルへ押し当てる。そしてそのまま一息に根元まで突き進んだ。高熱を帯びた柔らかな肉の壁にペニスをすっぽり包まれて、あまりの気持ち良さにシュナイダーは眩暈を覚える。 こんな感覚は初めてだ。 若林の腰を押さえながら、シュナイダーは抽送を始めた。ペニスを抜き差しする度に、柔肉がねっとりと絡みつきシュナイダーを絶頂へ向けて追い詰めていく。 「すげぇ・・・っ、イイ、すごい気持ちいいっ!!」 「あっ、あぁ・・・シュナ・・・っ!」 容赦の無い突き上げを食らって若林が呻く。痛みもあったが、それよりも亀頭で奥をごりごり抉られた時の感覚が凄かった。痛みを凌駕する快感が、身体の奥から湧き上がるのだ。シュナイダーが腰を打ち付けるたびに、勃起した若林のペニスはぷるぷると震え、白い精液を滴らせている。直にペニスを扱かれるまでもなく、アナルから伝わる前立腺への刺激で若林は達していた。 「うっ!」 短く叫んでシュナイダーが身体を硬直させる。若林に挿れたまま、シュナイダーが射精した。溜まっていた欲望の雫が若林の中にたっぷりと注ぎ込まれる。 放出を終えて柔らかくなった息子を若林の中から抜くと、若林の身体がシーツの上へ力なく崩れ落ちた。 セックスを終えた後、二人は無言で息を整えていた。やがて若林が半身を起こし、シュナイダーに向かってぼやく。 「・・・お前なぁ。確かに俺をこき使っていいって言ったけど、こんなのってあるかよ? 俺、まだ女とした事ないのに、こんな・・・」 精液まみれになった下腹部に目をやりながら、若林がため息をつく。その頬に顔を寄せて、シュナイダーが言った。 「俺もだ。女とした事ないのに、先に若林とやっちまった」 「えっ!?」 吃驚した顔で、若林がシュナイダーを見る。若林にはシュナイダーが相当手馴れているように見えたので、今のセックスが初体験だとはとても思えなかったのだ。 「お前も初めて? 嘘だろ?」 「本当だって。まぁ、雑誌やビデオなんかでそれなりに知識はあったけど・・・まさか最初の相手が若林になるとは思わなかった」 シュナイダーが照れ臭そうに頭を掻く。ちょっと悪戯心を起こしたのがきっかけで、彼を抱きたいと思う劣情に火がついてしまい抑えきれなくなった。やっている時は無我夢中だったが、興奮が冷めてくるとたった今自分のした事が信じられない。 だが後悔はしていなかった。 誰も見たことがない若林の一面を知り、快楽を共有した事で、今やシュナイダーにとって若林は特別な存在になっていた。 シュナイダーは若林の頬にキスをする。そして彼の両脚の間に手を這わせ始めた。股間を弄られながら、若林は深い息をつく。 「あ・・・シュナイダー、まだやんのかよ」 「やる。腰が抜けて立てなくなるまで、今日はとことんやってやる。それに、俺の為に今日一日何でもやると言ったのは若林だぞ」 俺は若林を誰にも渡したくない。若林にも俺だけを見ていて貰いたい。 だから何度でも若林を抱いて、若林が俺なしではいられないようにしてやるんだ。 シュナイダーの指が若林のアナルへと伸びる。さっき中に出したから、今は精液でぐちょぐちょだ。それを掻き出すようにしながら、シュナイダーの指は若林を攻める。 「んっ・・・シュナぁ・・・」 相手にのめり込んでしまったのは、若林も同様だった。抗う素振りは微塵もなく、それどころかシュナイダーの愛撫に応えて自ら身体を摺り寄せる。 素直に身を任せてくる若林が可愛くて、シュナイダーは若林の唇をキスで優しく塞いだ。 一時間前までは、単なるチームメート。 それが今は肉欲を満たして共に愉しむ、パートナー。 この日以降も身体を重ねるようになった二人が、深く気持ちを通わせ恋人と呼べる仲になるまでには、そう時間は掛からなかった。 おわり
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