住人の全てがシュナイダー(攻め)と源三(受け)という、夢のような街「シュナ源People」
全ての住人が男であるにも関わらず、源三(受け)は子供を授かる事が出来る。そして子供の名前は、生まれながらに命名されている。「シュナ源People」において、子供は間違いなく「神様からの授かりもの」なのである。
「遅くなっちまったな。近道していくか」
月が出ているとはいえ、辺りは暗い。早く家に帰りたい。夜道を歩いていた源三は、方向転換して自然公園の中に入っていった。源三の家はこの広大な自然公園の、丁度向こう側にある。
公園の敷地の外をぐるっと廻って行くとかなりの距離になるが、公園を突っ切ってしまえば大分近道になる。
広い森林をなるべくそのままの形に残して、所々に広場や遊歩道を作っただけの自然公園は、昼間はともかく夜は暗くて物騒な感じがする。この時間では広場で遊ぶ子供も、遊歩道を散歩する人もいない。遊歩道の脇には点々と街灯が立っているが、かなり間隔をあけて設置してあるので、やはり足元は暗い。
その暗い遊歩道を、源三はずんずんと歩いていった。前方にベンチが見えた。そのベンチには闇に溶け込むような黒い人影が座っていた。
(こんな時間に、一人で何をしているんだろう)
ちょっと薄気味悪く思って、源三は足早にそのベンチの前を通り過ぎた。通りしなにチラリとベンチの人影を盗み見る。ベンチに掛けていたのは、黒っぽいコートを羽織った身なりのいいシュナイダーだった。不審な外見の人物ではなかったので、源三はホッとした。ただかすかにアルコールの匂いがした。
(酔っ払いのシュナイダーか・・・)
源三はかすかな嫌悪感を抱いた。源三は受けでありながら、シュナイダーが好きではなかった。金髪碧眼の整った顔立ちに、魅力ではなく、冷徹さを感じてしまうからだった。源三の恋愛対象はいつも自分と同じ源三だった。そして結婚した相手も、もちろん源三だった。
(なんか、嫌だよな。シュナイダーって・・・)
源三はベンチのシュナイダーから早く離れたかった。やや小走りになって、その場から離れようとした時。
ガン!
硬い何かで背後から頭を殴られ、源三はよろめき倒れた。痛む後頭部に手を当てると、ぬるっとした感触があった。血が出ている。一体何が起きたのか判らず、源三が頭を抱えたまま動けないでいると、何者かが源三の両足首を掴んだ。そのままずるずると引きずられ、遊歩道から草深い森の中へと移動させられた。
(痛え・・・なんだ・・・なにが起きたんだ・・・)
何者かが源三のズボンを脱がそうとしていた。源三は気力を振り絞って上体を起こし、相手を押しのけようとした。しかし拳で顔を殴られ、源三はまた仰向けに倒れてしまった。
ズボンが脱がされ、冷たい土や草の感触が尻と太ももに直に感じられた。
源三はようやく自分の身に起きかけている事を理解した。
逃げなければ。
しかし、焦る気持ちとは裏腹に、身体は鉛のように重く感じられ、動くことが出来なかった。
源三の両脚が、抱えあげられた。
全く慣らされていない、きついアナルに熱く太い肉の塊が捻じ込まれた。
身体を裂かれる痛みに、源三は獣のような咆哮をあげた。しかし夜の公園には人影が無く、源三の叫びは誰にも届かなかった。肉棒が乱暴に源三の中を掻き回す。その痛みの激しさに、源三は体内を食い荒らされているかのような錯覚を覚えた。
痛みと屈辱に、涙が溢れ出て止まらなかった。
なんで
なんで俺が
なんで俺がこんな目に遭うんだ
源三は凌辱者の顔を見届けようとした。月を背にしている男の顔は、逆光で見えなかった。
だが、男が身体を動かす度につややかな金髪が揺れるのが、涙でぼやけた視界にもハッキリ見えた。
(金髪・・・さっきのシュナイダーだ・・・)
シュナイダーにレイプされている。
シュナイダーに嫌悪を抱いている同性愛者の源三には、耐え難い現実だった。源三は目をそむけた。
違う
シュナイダーじゃない
俺は、俺は今、兄貴に抱かれているんだ
源三は必死になって、結婚相手の源三を思い浮かべた。源三が兄貴と慕う相手とは、こんな乱暴なセックスをした事はなかった。兄貴はいつも源三を大事に扱い、源三を優しく可愛がってくれる。それでも源三は、相手が兄貴なのだと思い込もうとした。
本能のままに、目の前に現れた源三を襲ったシュナイダーは、源三に変化が生じたのに気付いた。うなだれていた源三のペニスが、突き上げるたびに少しずつ勃ちあがっている。シュナイダーは冷ややかに哂った。
「おまえ、レイプされても勃つのか。かなりの好きモンだな」
必死に兄貴の姿を思い描いていた源三は、この冷酷な声で現実に引き戻された。シュナイダーは更に卑猥な事を言って、源三を煽った。
「どうせ、何人ものシュナイダーを咥え込んでるんだろう。こんないやらしい穴が開いてるんじゃ、一人の男で満足できる筈がないからな」
そう言って、シュナイダーは源三の腰を抱え、更に挿入を深めた。ますます増加する痛みと圧迫感に、源三は歯を食いしばって耐えた。源三はかすれた声で、精一杯の抗議をした。
「・・・ち・・・違う・・・シュナイダーなんて・・・大っ嫌いだ・・・・・・」
この言葉にシュナイダーは驚いた。
「おまえ、ホモか?」
源三は答えない。だがシュナイダーは、源三の返事を待たず、べらべらと喋り始めた。
「ホモなんだな? じゃあ、本物の攻めを味わうのは初めてか。どうりで、気持ちよくって勃っちまう筈だ」
シュナイダーは腰を廻すようにして、更に源三の中を抉った。そして抜きかけると見せて、もう一度根元まで深く突き立てた。この一撃で、源三のペニスは完全に勃起してしまった。
「どうだ、受け同士のいちゃいちゃしたセックスとは、比べ物にならないだろう」
源三は声が出せなかった。だが必死になって首を横に振り、相手の言葉に反発する。シュナイダーは、そんな源三の態度をせせら哂った。
「俺に突っ込まれて、おっ勃ててるくせに、意地を張るなよ」
シュナイダーは源三のペニスを握り、しごき始めた。冷たい手に握られて萎えかけたものは、すぐに固さを取り戻して、シュナイダーの手の中で更に張りつめていった。シュナイダーは、腰の動きもゆるめない。シュナイダーの肉棒は源三の内壁を、思う存分掻き回していた。
源三はいつしか、痛み以外の感覚を味わっていた。源三は今まで受け同士で多くの性体験を重ねてきたが、これほどまでに激しい行為は初めてだった。理性では認めたくないものの、源三は確かに快感を味わっていた。
それも 気が狂うほどの凄まじい 快楽だった
シュナイダーの手に導かれ、源三の中から白いエキスが飛び散った。
少し遅れて、シュナイダーも達した。熱いものがとろりと源三の中に流れ込む。
「わかるか。これが、本物の攻めだ。あんた、明日にはキャベツ畑に直行だな」
シュナイダーは源三の中から己の砲身を抜き取り、ポケットからティッシュを取り出して、残液をぬぐった。丸めたティッシュを、だらしなく開いた源三の脚の間に放り捨てる。そして淡々と身支度を整えると、動けないでいる源三を見下ろして言った。
「ホモなんて止めちまえよ。俺に会いたくなったら、今日と同じ時間にこの公園に来い」
シュナイダーはそれだけ言うと、精液にまみれた下半身を剥き出しにして、ぐったり横たわっている源三を置き去りにして行ってしまった。
それから何十分かの間、源三は地べたに寝そべったまま、ぴくりとも動けなかった。頭の傷は痛みが残るものの、血は既に止まっていた。そして身体の奥には痛みではなく、快感の余韻が残されていた。失いがたい余韻に、源三はいつまでも浸っていたかった。
火照った局部に直に吹き付ける夜風を、気持ちいいとは思わず寒いと感じるようになって、源三は身体をのろのろと起こした。まるで夢から抜け出せないでいるような、朦朧とした状態で辛うじてズボンを履き、家を目指した。
家には灯りが点いていなかった。兄貴はまだ帰っていない。そうだ、今日は残業だと言っていたっけ。自分の変わり果てた姿を、結婚相手に見られなくて済む。源三は少しだけ気持ちが安らいだ。
家に入ると源三は着ているものを全て脱いだ。泥と精液にまみれた衣服をひとまとめにしてゴミ袋に入れ、きつく口を縛った。それからバスルームに行き、全身を冷水で洗い流した。血のついた頭部と、シュナイダーの精液を呑み込んだアナルは、特に念入りに洗った。冷たい水は源三の体温を奪い、源三の全身に鳥肌が立った。だが湯を出すことはしなかった。
この冷水が、さっきの汚れた行為の痕跡を清めてくれるように。
祈りにも似た気持ちで、源三は冷水を浴び続けた。
バスルームから出た源三は下着もつけずに、真っ暗な寝室に入った。裸のままベッドに入り、毛布に身をくるむ。冷え切った身体が少しずつ熱を取り戻すのを感じながら、源三は深い眠りについた。
人の気配を感じて、源三は目を開けた。室内は相変わらず暗いままだ。パジャマを着た兄貴が、自分の横に身体を横たえようとしているのだと判った。源三の寝息が止んでいることに気付き、兄貴が小声で言った。
「ごめん。起しちゃったな」
「いいんだ。今日は眠りたくない」
源三は兄貴に抱きつき、途惑う兄貴を押し倒すようにしてキスをした。兄貴はいつになく積極的な源三に驚いた。
「おまえ、服着てないのか」
「欲しいんだ。今すぐ、兄貴としたいんだ」
源三は兄貴のパジャマを慌しく脱がせた。兄貴のパジャマのズボンを下着ごとずり下ろし、あらわになったペニスに自分のモノを押し付けて、こするように腰を動かした。二人の陰毛が重なり合い、ざりざりと混じりあった。突然の求愛に、兄貴は息を弾ませた。
「あっ・・・どうしたんだよ・・・いつもと、違う・・・」
源三は兄貴の問いに答えられなかった。
レイプされた痕跡を消し去るために、いつもより激しく抱いて欲しいなどと、言える筈がない。
代わりに源三は兄貴に奉仕して、仕事で疲れていた兄貴を奮い立たせてやった。息子はたちまち元気になってしまったのに、兄貴はまだ遠慮がちだった。
「ほんとに、こんな急に挿れていいのか?」
「いいよ・・・早く、早く欲しい・・・」
源三にせがまれて、兄貴は漸く挿入してくれた。だが、源三を傷付けないように、ゆっくりと腰を動かしている。源三は物足りなさを感じていた。
もどかしい
もっと もっと
乱暴に 滅茶苦茶に 突いて欲しい
源三は自分から腰を振り、兄貴を締め付けた。途端に兄貴が、終わってしまった。
「あっ・・・悪い。・・・やっぱり、今日は疲れてるから・・・」
恥ずかしそうに言い訳する兄貴を、源三は許さなかった。
「駄目だ! もっと、もっと欲しい。俺は兄貴が欲しいんだ」
『本物の攻めを味わうのは初めてか。どうりで、気持ちよくって勃っちまう筈だ』
『受け同士のいちゃいちゃしたセックスとは、比べ物にならないだろう』
『これが、本物の攻めだ。あんた、明日にはキャベツ畑に直行だな』
レイプされながらシュナイダーに投げかけられた言葉が、源三の耳元で甦った。
違う。あんなの、気持ちよくなんかない。俺は兄貴が好きなんだ。兄貴とじゃなきゃ、駄目なんだ。俺が見つけるのは兄貴の子供だ。シュナイダーじゃない。
忌わしい記憶が甦りそうになるのを必死で抑え込み、源三は兄貴にとりすがった。源三は飽きることなく、一晩中兄貴と愛し合ったのだった。
それから二日後。広大なキャベツ畑の真ん中で、源三は自分の見つけ出した赤ん坊を、呆然と見下ろしていた。
色白で、柔らかな栗色の髪を持つ赤ん坊は、自分にも兄貴にも似ていないと思った。赤ん坊の瞳は茶色く、どことなく日本人離れしている。そして神様がつけてくれた名前は・・・ドイツ人のものだった。
兄貴の子じゃない。あのレイプ魔の子だ。
源三は神を呪った。一刻も早く忘れたい出来事を、この子を見る度に思い出してしまう。こんな子を連れ帰ることは出来ない。ここに置いていこう。
しかし上機嫌で自分に向かって笑いかけてくる赤ん坊を、本当に置き去りには出来なかった。兄貴の子じゃない。でも俺の子だ。俺が育てなくてはいけないんだ。
「兄貴・・・ごめん」
源三は罪悪感に苛まれながら、赤ん坊を抱き上げた。
おわり
あとがき
シュナ源カップルの子ならドイツ名がついても日本名がついてもおかしくありませんが、両親共に日本人の源源カップルに、ドイツ名の子が生まれるのは何故なのでしょう? この疑問を「シュナ源People」管理人様にお尋ねしてみたところ
1.受け源がシュナと浮気している
2.受け源が野良シュナにレイプされている
というお説を賜りました。な、なんて素晴しい・・・(感動!) 早速、説1は掲示板連載に、説2は本編に妄想展開させて頂きました。いつもいつも素敵な妄想ネタを提供してくださり、「シュナ源People」管理人様には感謝の言葉がいくつあっても足りません。因みにもっとも有力な説は、
3.神様が適当に名前をつけている です(笑)