俺は母からフリーパスを受け取り、若林の家に電話した。しかし誰も出なかった。
 「また自主トレか・・・」
俺はJr.ユースチームの練習場に向かった。今日は日曜でチームの練習も休みなのだが、思っ
たとおり若林はトレーニングルームで黙々と、筋トレをしていた。
 若林は俺の姿を見つけるとトレーニングを中断し、汗を拭きながら俺のほうに近寄ってきた。
 「どうした、シュナイダー。今日は妹さんとデートだろう?」
 「その予定だったんだが・・・」
俺は事情を説明し、一緒に来て欲しいと頼んだ。しかし若林は眉を寄せて、渋い顔をした。
 「う〜ん。おまえと遊園地かぁ」
 「嫌か?」
 「ああ」
ストレートに言われて、俺は結構傷ついた。そりゃあ、うきうきと付き合ってくれるとは思ってな
かったが、それにしてももう少し言い方があるだろう!
 「俺は練習してる方がいい。それに、なんだかんだ言っても、おまえは妹さんについてた方が
いいと思うぜ」
それだけ言うと、若林はさっさとトレーニングに戻ってしまった。いくら何でも、一人で遊園地に
行く気にはなれない。俺は家に帰ることにした。
 若林に頑張れよ、と声を書けると、おうっ、と返事が返ってきた。俺は練習場を出て、来た道
を戻り始めた。