「そうだな。もう帰ろう」
俺たちは家族連れに混じって、遊園地を出た。帰りがけにスピード仕上げの店で写真の現像
を頼み、写真が出来上がるまでの間、喫茶店で時間を潰す。
「そろそろ出来る頃だな」
若林がそう言って、写真を取りに行ってくれた。程なくして店に戻ってきた若林は、フィルム3本
分の写真を袋から出し、テーブルに広げた。どの写真もよく撮れている。俺は若林に改めて礼
を言った。
「ありがとう、若林。これならマリーも、きっと喜ぶ」
「そうか、良かった。マリーちゃんによろしくな」
それが別れの言葉になった。俺としては写真を見ながら、今日のデートを二人でゆっくり振り返
りたかったのだが・・・。俺たちは店を出ると、それぞれの家路についた。

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