俺たちは観覧車を諦め、他のアトラクションを見て廻った。途中、簡単な食事を園内で摂り、
予定通り花火とパレードの写真を撮った。若林が満足げに言う。
「これで、撮り残しはないな。よし、帰ろうぜ」
俺は無言で頷いた。もう少し、若林と二人きりの時間を過ごしていたかったが、もう一緒にここ
にいる大義名分がない。俺たちは遊園地を出た。
帰りがけにスピード現像の店により、今日撮ったフィルムを全部焼いてもらった。若林に今日
付き合って貰った礼と、別れの言葉を告げ、俺は写真の束が入った袋を抱えて家に帰った。