「おまえさえいれば、何もいらない」

  俺は勇気を振り絞って、とうとう自分の想いを口にした。しかし、若林の反応は思いのほか

 冷静だった。

  「そうか、じゃあ早速、話ってのを聞かせてくれよ」

  「え・・・だから、俺はおまえさえいれば・・・」

  「それは判ったよ。飲み物は要らないんだろう。だから、話をしろよ。聞くからさ」

  ・・・・・・通じてない。

  必死の告白だったのに、若林に通じてない。

  その事に気付くと、俺はとてつもなく恥ずかしくなった。

  なんて間抜けなんだ。穴があったら入りたい。

  俺はしどろもどろになって、言い訳を始めた。

  「あっ、やっぱりいい。話は、また今度で・・・」

  そして若林が引き止めるのを振り切って、若林の家から逃げ出してしまった。