夢うつつの中で、若林は妙な感覚を味わっていた。妙といっても不快な感覚ではない。くすぐったいような、ぞくぞくするような、どちらかといえば快感に近い物だった。
(・・・なんだ、これ・・・?)
奇妙に思いながらも気持ちがいいので、若林は目を閉じたままその感覚に身を委ねる。股間から伝わるその感覚は、紛れも無く若林の性感をダイレクトに刺激していた。快感の波は徐々に強まっていき、若林の息が少しずつ荒くなっていく。
(気持ちいい・・・これは・・・?)
柔らかいもので自分のペニスが直接刺激されているのだと気付き、若林は慌てて目を開く。得体の知れないものの正体を見極めるべく、視線を己の股間に向けると、じっとこちらの様子を窺っていたらしい岬と目が合った。
若林は脚を広げて椅子に座っていたのだが、その脚の間で岬は跪き、若林のペニスを引っ張り出してしゃぶっていたのだった。
「み、岬!?」
「あ・・・起きちゃった?」
若林のペニスから唇を離し、若林の顔を見上げて岬がニコッと笑う。
「寝ている若林くんがあんまり可愛かったから、ちょっと悪戯してみたくなって」
「!! な、なにをバカな事を・・・」
「でも、気持ちよかったでしょ? 若林くん、もうこんなに立派になっちゃってるし」
先端から汁を漏らしながら屹立しているペニスを指先でちょんと弾かれて、若林はあっと呻いた。
「大丈夫、ちゃんと最後までイかせてあげるから・・・」
そう言って岬は若林のモノを再び口に含む。熱い舌に全体を舐られ、先端をきつく吸い上げられて、若林はもう我慢が出来ない。
「岬っ、そんな・・・あっ、あーっ!」
岬に咥えられたまま脚を突っぱねて、若林は達してしまった。岬はそれでも口を離そうとせず、口内に溢れ出てて来た精液を余さず飲み下してしまった。力が抜けてしまって椅子の上でぐったりしている若林を見ながら、岬が冗談めかした口調で言った。
「若林くん、ごちそうさま〜」
「み、みさき・・・お前、何考えてんだよ・・・?」
思いもよらなかった展開に、若林は混乱していた。息を整えながら、咎めるような口調で岬を問い質すが、岬の方は全く悪びれた様子はない。
「僕が考えてるのは、どうやったら若林くんと一緒に気持ちよくなれるかな・・・って事。ねぇ、若林くんがあんまり気持ちよさそうにしてるから、僕も勃っちゃったんだ。若林くんも、僕のしゃぶってよ」
そう言うと岬は立ち上がり、若林の目の前でズボンと下着を下ろしてしまった。岬の言うとおり、着衣から開放された彼のペニスは雄雄しく天を仰いでいる。
「ほら、早くして!」
酔いと混乱で思考能力の低下している若林は、岬に急かされて素直に椅子から下り床に膝をつく。それから岬の前に顔を近づけると、岬の男根を口に含んだ。
「あ・・・すごい、若林くん、上手だね・・・」
岬はうっとりしたような声で言うと、若林の髪を両手で掴み、より深く咥えさせるかのように引き寄せた。口中を満たすモノにむせそうになりつつも、若林は懸命に舌を遣い岬自身を可愛がる。口の中で岬が更に張りつめていくのが判り、若林はもうすぐ咽喉に溢れてくるであろうものを予想して緊張した。しかし、岬はそのままイこうとはしなかった。
「あー、もう我慢出来ないっ!」
そう叫ぶと、それまでは髪を掴んで引き寄せていた若林の頭を、力任せに押しのける。突然の拒絶に若林は口を開けたまま、ぽかんとして岬の顔を見上げた。
「若林くん、挿れさせて! お願い!」
口ではお願いと言っているが、それは強制に近かった。若林の腕を引っ張り床から立たせると、ベッドの上に突き倒すようにして押し倒す。
「ちゃんと慣らすから安心して、ね?」
岬は若林の下半身を裸に剥いてしまうと、唾液で濡らした指を若林のアナルへと挿入する。若林は痛みを予想したが、その指の動きが思いの外巧みで、若林は思わず喘ぎ声を漏らしてしまった。
(な、なんで・・・こいつ、こんなに上手いんだ・・・あぁっ・・・)
疑問や戸惑いは、瞬く間に快楽に押し流されてしまった。男を受け入れる快感を知っている若林は、無意識のうちに自分から尻を浮かすようにして、岬を求めてしまっていた。
「みさきっ、頼む、早く・・・っ」
「判ってる。僕も、さっきから若林くんに挿れたくて、うずうずしてたんだから・・・」
岬の指が若林の中から抜かれ、代わりに岬自身が若林の中に侵入した。貫かれた瞬間に、若林の全身を快感が走り抜ける。
「あっ・・・、みさきっ・・・」
「はぁ・・・思った通りだ。若林くんの中って、気持ちいい・・・」
岬は若林の感触を味わうように、ゆっくりと腰を沈めていく。若林は、求めていたモノに徐々に満たされていく感触に陶然としていた。岬が根元まですっぽりと挿入し終えた時、二人は同時に深い息をついた。
「若林くん、動くよ。いいね?」
若林が頷くのを見て、岬は大きく腰を打ちつけ始めた。しかし己の欲望のままにただ腰を振るのではなく、若林が感じているかどうか、反応を見ながら少しずつリズムを変えている。突かれ、抉られ、抜かれかけてはまた貫かれ・・・容赦なく押し寄せる快楽の波に溺れかけ、若林は無我夢中で岬の身体にしがみつく。
「あっ、あぁっ・・・みさき、みさきぃ・・・っ!」
「・・・若林くんっ、出すよ・・・!」
岬が若林の上で身体を硬直させた。岬の放った熱い液がじわじわ身体に染み込むような感覚に、若林の興奮も最高潮に達した。
「・・・んんっ!!」
岬に数秒遅れて、若林も二度目の射精を迎えていた。