やっぱりこういう事は、明るい居間でやるんじゃ落ち着かない。若林は考えた。
 シュナイダーは気になら ないかもしれないが、俺にはとても無理だ。場所を移して仕切り直ししよう。今夜は俺が好きにしていいのだから、場所を移すのも俺の自由だ。
 「シュナイダー・・・寝室に行こうぜ」
若林の申し出に、シュナイダーは頷いた。シュナイダーの同意を得た若林は、すっくとソファから立ち上がったが、途端にぐらいと足元がよろめいた。まだ酒の酔いが残っているのだ。
 「おい、大丈夫か?」
心配したシュナイダーが若林の肩を抱きかかえる。シュナイダーに支えられて寝室に向かいながら、若林は苦笑した。
 「俺がリードしてる、って感じじゃねぇよなぁ」
 「気にするな。ベッドの上では、若林が好きにすればいい」
シュナイダーは寝室に入ると電灯のスイッチを入れた。パッと室内が明るくなり、見慣れたベッドルームが隅々まで照らし出される。これを見た若林は、すぐに電灯のスイッチに手を伸ばして、照明モードを暗い常夜灯だけに切り替えた。
 「灯りはこんなもんでいいだろ?」
若林はシュナイダーに言った。シュナイダーとは灯りを消す消さないで、よく揉めるのだ。恥ずかしいから消せという若林に対して、シュナイダーはお前の姿が見えなくなるじゃないかといつも反論する。
 だが、今夜は若林に決定権がある。それに灯りを完全に消さずに常夜灯を残した事で、若林としてはシュナイダーの好みにも歩み寄ったつもりだった。シュナイダーもそれが判ったのか、素直にああと頷いてくれた。
 ベッド脇に立った若林が覚束ない手つきでのろのろと服を脱ぎだしたのに気付き、シュナイダーは手伝おうと手を差し伸ばした。しかし、若林はシュナイダーの手を押し返す。
 「若林、手伝わせろよ」
 「服くらい、一人で脱げるよ。大人しく待ってろ!」
自分の手で若林の肌があらわになっていくのを見るのが好きなので、シュナイダーは当てが外れてちょっとガッカリした。しかしすぐに考え方を切り替える。
 酔っ払って動きが緩慢になっている若林が服をゆっくりと脱いでいく様子は、滅多に見ることの出来ない貴重なストリップショーじゃないか!
 シュナイダーは大急ぎで服を脱ぎ捨てると、ベッドに上がりこんで若林が服を脱ぐ様子をじっと見つめ始めた。常夜灯の薄明かりの中に佇む若林は、ようやくシャツのボタンを全部外し終わったところだった。目の前で若林が徐々に裸身を晒していくさまを、シュナイダーはたっぷり堪能した。
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