「それじゃ・・・プレゼントを開けようかな」
「ああ、そうしてくれ。気に入って貰えるといいけど」
シュナイダーは辺りをキョロキョロと見回しながら、ソファから立ち上がった。
「小さい包みだけど、中身はイイ物だから」
「シュナイダーの見立てなら、何を貰っても嬉しいよ」
若林の言葉に、シュナイダーが嬉しそうに笑みをこぼす。そして部屋の中をざっと見回すと、目当ての物がないのに気付いて若林に言った。
「ちょっと待っててくれ。この部屋に持ってきてたと思ったけど、勘違いだったみたいだ。今持ってくるよ」
そういい残して、シュナイダーは部屋から出て行った。シュナイダーは数分の後に戻ってきたが、困惑の表情で若林に告げた。
「おかしい。隣の部屋か玄関に置き忘れたのかと思ったけど、どっちにも無かった。やっぱり、この部屋に持ってきてるんだ」
「え・・・それって、プレゼントを無くしたって事か?」
若林に聞かれて、シュナイダーは顔色を変えて首を横に振った。
「そ、そんなわけないだろう! 俺が若林へのプレゼントを無くすなんて・・・どっかに置き忘れてるだけだよ」
「じゃ、俺も捜すのを手伝うよ」
そう言って若林が腰を上げかけるのを、シュナイダーは慌てて押し止めた。
「若林は今日の主役じゃないか。ゆっくり座って待っててくれ」
シュナイダーがしつこくそう言うので、若林は再びソファに腰を下ろした。
それからシュナイダーは部屋の中をあちこち捜し始めた。置き忘れなら、目の届くところにある筈なのだが、何故かそれが見当たらない。念のため戸棚や引き出しを残らず調べてみたが、やはりプレゼントは出てこない。まさかと思いつつゴミ箱を漁ってみたが、やはり目的の品を見つけることは出来なかった。
「変だな・・・絶対この部屋にある筈なのに」
憔悴しきったシュナイダーに、若林は気遣うように声を掛けた。
「もういいよ。シュナイダーが俺の為にプレゼントを用意してくれた。その事だけで、充分嬉しいよ」
「・・・ごめん。若林」
シュナイダーは項垂れながら、若林の座っているソファに近付いた。自分もソファに掛けようとして、シュナイダーは何気なく足元を見下ろす。途端にシュナイダーが、仰天した声を上げた。
「若林! ちょ、ちょっとその足をどけてくれ!」
「えっ?」
言われるままに若林が床から足を持ち上げると・・・その下からはぺっちゃんこになった小さな包みが現れたのだった。
二人の間に重苦しい沈黙が流れる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・若林、そりゃないだろぉ〜っ!!」
「ご、ごめんっ! 気付かなかったんだ! 俺、酔ってて・・・本当にごめんっ!!」
若林は必死になって頭を下げたが、シュナイダーはすっかりへそを曲げてしまった。若林はシュナイダーをなだめるのに、一晩中時間を費やす事になるのだった。